肺がんの60%を占める「腺がん」は、男性だけではなく、非喫煙者の女性にも発症するがんで、肺の隅っこにできます。

腺がんがどうして近年増えたのか、その原因はまだ明らかにされていません。ただ、言われているのはCT(コンピューター断層撮影)検査がよく行われるようになって、発見されやすくなったことも影響しているだろう、と。

腺がんは濃く写るタイプのほか、「すりガラス状」と言って、CTに淡く写るタイプが多く、エックス線では写りません。たとえば、1センチのすりガラス状の影が見つかったとします。この段階では「腺がん」と「肺炎」の2つの可能性があり、1、2カ月後に再度CTを撮ります。肺炎であればきれいに消えており、消えていないと腺がんの可能性があります。1センチ程度であれば、腺がんでも非常におとなしい性質のがんで、なかなか大きくはなりません。

半年ごとに定期的にCTを撮りますが、1センチのままというケースが9割。残りの1割は、内部に芯のような濃い部分が出現したり、すりガラス状のまま1センチが1・5センチになってきたりするようなケース。これらの場合は、手術を考えます。1センチのすりガラス状で見つかったケースではなく、すでに2センチ程度の場合はすぐに手術を行うべきです。

すりガラス状の2センチ程度の腺がんが発見されると、それは極めておとなしい性質のがんなので、「肺葉切除」ではなく、もっと小さく切除する身体に負担の少ない「縮小手術」で対応する場合もあります。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)