「運動」の次は第3のアセットの「栄養・食事」-。

行動変容外来では、ダイエットをしたい患者さんに、太る原因と思われる行動を10個書き出してもらい、一番悪いと思う行動から順に<1>~<10>まで番号をふってもらっています。

そして、私は患者さんに次のように尋ねます。「この中で、一番悪い行動をやめられますか」と。患者さんが「できます」と即答しても「本当にできますか」と念を押します。すると、患者さんの中には「やっぱり無理かもしれません。2番目、3番目の行動ならやめることができるかも…」という方も出てきます。

そこで、私は患者さんに次のようにアドバイスしています。「1、2番目の行動をいっぺんに断とうとはしないでください。ハードルの高いことを1度にやって失敗し、ダイエットをしようと思った気持ちまで台無しにしてはもったいない。ハードルの低いことから始めませんか」と。死ぬぎりぎりまで人生を楽しみたいのならダイエットに無理は禁物。

実際、私も無理はしません。私は好きに飲み食いしていると適正体重の57キロが62キロに増えてしまいます。好きなビールやご飯を我慢すれば、簡単に適正体重に戻せることはわかっています。でも、ビールとご飯をやめる生活をしたいかと言われると答えは「ノー」。自分の好きなお酒や食事を楽しめない人生なんてつまらない。だから、私はビールを飲んだらご飯を食べない、ご飯を食べたらビールは控える。このように、できると思えるルールを自分で作り実行しています。これで良いのです。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)