■ソロ力をつけて、最後の個人戦に備える
47年間、内科医としてたくさんの命に寄り添ってきました。3世帯の大家族で生活している人もいれば、夫婦2人暮らしの人も、1人暮らしの人もいます。置かれた状況はそれぞれ異なりますが、1つ共通しているのは、どんな人でも命の最期は個人戦だということです。
■1人になっても生きられる準備をしよう
たとえば、夫婦2人暮らしの場合、男性は妻任せにしがちです。どういうわけか、自分のほうが先に逝くと思い込んでいて、1人で生きていくことなどあまり考えていないという人が多いのです。
そのため、妻に先立たれると、その日の食事から困ってしまう。家のなかも荒れていきます。精神的にも妻に頼っていたため、ふさぎこむことが続きます。やがて体も心も健康を害し、老いの坂道を転げ落ちていくことになります。もちろん、男性が全員そうではありませんが、高齢になればなるほどこうした傾向が強くなります。
■女は強い
一方、女性はというと、夫に先立たれた後も1人で元気に過ごし、むしろのびのびと生きていく人が多いように感じます。自分の命と健康を支える生活のスキルを身に付けている人が多いからかもしれません。
しかし、結局のところ、夫が先か、妻が先か、命のなりゆきはわかりません。だれでも最期は1人になるのだと覚悟して、1人で生きていけるように、ソロ力をつけておくことが大切です。もたれ合う夫婦ではなく、自立した1人対1人であるほうが、良好な関係を築けるように思います。