■習慣が変われば生き方が変わる

中小企業の社長Aさんは、豪放磊落(らいらく)な性格で、仕事の接待でも、仲間や部下との付き合いでも、おいしいものやお酒をごちそうし、自分自身もたくさん飲み食いする生活を続けていました。その結果、糖尿病になりました。社員は心配しましたが、誰も注意できません。家族も、会社のためと言いながら、お酒にのまれているのでは…。信頼できないと感じていました。

ぼくは、こんな提案をしました。「家族からも会社の人からも、あなたは大事な存在。あなたが変わり、自分の健康をコントロールしている姿を見せれば、家の中の雰囲気も、会社の雰囲気も変わる。気合を入れて行動変容を起こそう」。

■まず、簡単な習慣を変えろ

Aさんは、よく歩くようになり、スポーツジムにも通うようになりました。接待でもお酒は1杯と決め、食事も半分の量に抑えました。すると、みるみるうちに血糖値のデータが良くなっていったのです。結果が出ると、快感ホルモンのドーパミンが分泌され、ますますやる気が出てきます。

■行動変容は周囲にもいい影響を与える

成果はそれにとどまりませんでした。がんばっているAさんの姿を見て、社員たちも社長を見直し、生産性が上がったのです。家族も、糖尿病は遺伝が関わる場合があるからと、家族みんなで食事や運動に注意し、健康づくりに前向きになりました。

1人が本気になると、それが周りにもいい影響を与えます。これが20年、30年と続けば、その人の周りでは生活習慣病の発症率が下がっていく可能性があります。