■ユーモアの力

ユーモアは、笑いを誘い出し、笑いは、ストレスを緩和します。

今コロナによるストレスで、ノルアドレナリンが暴走しやすくなっています。言い換えると「キレやすく」なっているのです。つまらないことで言い争いをして、職場の人間関係が悪化したり、家庭内DVも多発しているようです。

ストレスが続くと、慢性炎症が起きやすくなります。うつ病も、認知症も、動脈硬化も、がんも慢性炎症が関係してると言われています。

■ストレス緩和には、ユーモアが大事

ベストセラー「大往生」を書いた永六輔さんに、生前、「どんな大往生を遂げたいですか」と聞きました。

「ぼくの憧れは“野垂れ死に”なんです。“野垂れ死に”って、結構人に迷惑をかけそうなので気にはなるのですが、できたら死体をひっくり返して『これって、永六輔じゃないか?』『この顔の長さはそうだよ』(笑)。いつも考えている最期の場面ですね」。彼のユーモアはすごい。

かつて「鎌田實の“いのちの対話”」というNHKのラジオ番組(全国放送)がありました。ラジオでは珍しく、全国各地を回る公開生放送の3時間番組で、7年ほど続きました。

あるときゲストとして出演してくれた永さんが、こう言いました。「がんという言い方はやめて、ポンにしましょう!」会場が沸きました。がんという重苦しくなりがちな話題をユーモアに交えて、実に見事でした。

「老い」も「がん」も「死」も、うまくユーモアに包んでしまうといいのです。