知覚過敏の多くは、歯ぐきが下がっている場所で起きます。歯の根元のくびれた部分が露出してくるとエナメル質の保護が失われ、象牙質がむき出しになり刺激が伝わりやすくなるからです。

「歯ぐき下がり」の原因は、歯周病とオーバーブラッシング(過度な力で行う歯みがき)に大別されます。歯周病によるダメージで歯を支えている骨が衰えると、当然その上を覆う歯ぐきのラインも下がり、結果的に歯の根元の部分が露出してきます。歯ぐきに慢性的な炎症が起きている疾患が歯周病ですから、赤黒くぶよぶよした状態で歯ぐきも骨も下がってくるイメージです。

かたやオーバーブラッシングの場合は、歯ぐきの色が白みを帯びたように見えることが多いです。健康な歯ぐきはふっくらした薄いピンク色をしているのですが、強い刺激で弾力を失った歯ぐきは縮み、硬くなります。

同じ「歯ぐき下がり」でもこの2つは対処法が全く異なりますから、見きわめが肝心です。加齢とともにある程度の変化はあるものですが、歯ぐき年齢は日頃の手入れが適切かどうかで差が大きく開きます。80代でも若々しくてきれいな歯ぐきを持つ患者さんもいれば、30代ですでにプラス20歳老けてしまっているような方もいます。

歯周病の治療には歯科医院でのプロケアと、ご自身で毎日行うセルフケアの両輪が不可欠です。失った骨は元に戻すことが難しいので、歯ぐき下がりが今よりも加速しないように腰を据えて取り組んでください。

歯みがきの際にシャカシャカと周りに音が聞こえるように動かしている方は、オーバーブラッシングの可能性が高いです。汚れは力でこそげ取るものではなく、テクニック命です。当てる力が強すぎると柄がしなる設計の歯ブラシなど、自主練に適した商品もたくさん出ています。