高血圧改善の一助となる運動は、一気に長時間取り組むのではなく、ちょこちょこ行う方が効果的なことを前回紹介した。では、食事についてはどうか。

「高血圧改善効果が最も高いといわれているのは、DASH食です。カリウムやカルシウム、マグネシウムを多く含み、腎臓が塩分を再吸収する働きを抑制することができます」とは、東京都健康長寿医療センターの原田和昌副院長。循環器内科で、高血圧患者の診療を数多く行い、臨床研究による画期的な治療法の確立にも貢献している。

DASH食は、米国で推奨されている高血圧改善の食事療法。果物、野菜、ヨーグルト、魚、豆、ナッツ、全粒穀物などを使った料理のこと。日本でも高血圧治療で指導されている。

「高血圧の改善では、塩分を1日6グラムまで控えることが大切ですが、うどんやパンなど、さまざまな食品に食塩は含まれます。知らぬ間に体内に取り入れてしまった食塩は、カリウムやカルシウム、マグネシウムで排せつする。それが血圧コントロールに役立ちます」

一方、心臓病予防では地中海式ダイエットも有効といわれる。DASH食と野菜やナッツ、魚など共通する食材に加え、適量の赤ワインやオリーブオイルなどを含む。

「DASH食と地中海式ダイエットを組み合わせたMIND食は、認知症予防に役立つと報告されています。食事内容を見直すと複合的に健康に寄与するのです。いろいろな食材をぜひ味わっていただきたいと思います」と原田副院長はアドバイスする。