<今元気な70歳くらいの男性の平均余命は?>

平均余命というのは、これからどのぐらい生きられるかという平均の予測数値です。

現在70歳前後の男性で、4分の1の元気グループに入る人は、平均余命が21年というデータがあります。つまり、長生きしたいと思っていないのに、91歳まで生きるということです。女性はもっと恐ろしい。70歳前後の元気な女性の平均余命は25年。つまり95歳まで、ゆうゆうと生きてしまうということです。

<高齢者の認知症発症率>

80歳の壁を越えると、男性は6人に1人が認知症。女性は4人に1人が認知症。想像を超えて多いのです。90歳前半になると、男性は2人に1人、女性は3人に2人が認知症になると言われています。長生きを希望していなくても長生きをしてしまう時代。90歳をピンピン元気に越える必要があります。

<がんよりも怖い認知症>

日本人はどんな病気になるか。厚労省の2020年の患者調査によると、がん178万人、心臓病173万人、脳血管疾患112万人。認知症はなんと600万人。軽度認知障害と呼ばれる認知症予備軍(MCI)は、驚きの670万人と推計されています。もちろん、がんや心臓病、脳卒中も怖いですが、認知症は予備軍も入れると1270万人。とんでもない数字なのです。

85~90歳の壁を越えて生きるときには、認知症にならない習慣を身に付けることが大切です。そんな工夫をこれからこの連載で展開していきます。(医師で作家・鎌田實)

医師で作家の鎌田實氏「85歳の壁 突破への極意」/連載一覧