現在、認知症の社会的コストは、医療費1・9兆円、介護費6・4兆円。家庭で介護する際のおむつなどもろもろの介護費用(インフォーマル・ケアコスト)を計算すると、6・2兆円。全部で14・5兆円がかかっていると言われています。日本の一般会計予算は約114兆円。認知症はさらに増える見込みです。認知症の発生を少しでも抑えることは、とても大事なことなのです。

<想像以上に金がかかる>

認知症になったときの介護年数は、平均6年7カ月。在宅を中心に介護した場合、合計で650万円がかかります。ある調査では、介護で負担した費用は月々平均7・5万円。さらに住宅改造や介護用ベッドなどにかかった費用、平均50万円。施設を利用した場合は、1300万円。大変な額になることを承知しておく必要があります。

<親のお金が引き出せない>

認知症高齢者の凍結資産は250兆円と言われています。親が認知症になってしまうと、勝手に資産を動かすことができません。

「成年後見制度」というのがあります。後見人は家庭裁判所の判断によって選ばれます。認知症の人の財産を守るための大切な制度ですが、手続きには手間も時間もかかります。「任意後見制度」を選べば、本人の意思で後見人を選ぶことができますが、これも大変。

<代理人カードが一番>

一番簡単なのは、代理人カード。ぜひこれを覚えておいてください。認知症の診断が下される前に代理人カードを作っておけば、認知症になっても、本人のお金で介護してあげることができます。