日本疫学会の調べでは、日本人成人の7・4%が睡眠薬を服用しています。若者よりも高齢者に多く、男性より女性の服用者が多いことがわかりました。

70歳以上の女性では4人に1人、80歳以上の女性では3人に1人が睡眠薬を服用しているという実態もあります。

女性は更年期に体調不良で睡眠障害が始まることがあります。男性では中年になって仕事が壁にぶつかったりして、ストレスから眠れなくなり、睡眠薬に頼ることが多いようです。

<鎌田も睡眠薬常用者だった>

実は、ぼく自身も睡眠薬を服用していた時期がありました。年に数回、イラクやチェルノブイリへ子どもの診察に行くようになり、時差ボケに悩まされたのがきっかけです。

初めは短時間だけ作用する軽い薬を、寝つきの悪いときだけに飲んでいましたが、徐々に習慣化していきました。エチゾラム(商品名デパス)、レンドミン(ブロチゾラム)、重度の不眠症に使うフルニトラゼパム(サイレース)など、2~5種類の薬を併用していました。

<睡眠薬依存に気をつけよう>

睡眠薬は、一時的に服用するなら問題ありません。しかし、量や種類が増え、服用期間が長くなると、依存性が心配になります。

睡眠薬は耐性ができるので、薬の量や種類を増やしていかないと眠れなくなるのです。服用を止める場合も、時間をかけて薬の量を減らしていく必要があります。(医師で作家・鎌田實)