睡眠にはサイクルがあり、浅い「レム睡眠」と、深い「ノンレム睡眠」が90分周期で交互に訪れます。ノンレム睡眠は成長ホルモンを出す大切な睡眠ですが、レム睡眠にも大切な働きがあります。記憶を整理するという働きです。

<レム睡眠が記憶を整理する>

起きている間に得た新しい情報は、記憶の中枢である海馬で一時的に蓄積され、眠っている間に整理され、大切なものだけが記憶の貯蔵庫に入ります。

知識などの情報のほかに、体で習得したスポーツや作業の技能なども、記憶として整理され保存されます。練習してもうまくできなかった楽器の演奏が、一晩寝た翌日になると、うまくできるようになったというのは、レム睡眠の働きのおかげかもしれません。

<睡眠不足が続くと、認知症のリスクが高まる>

睡眠は、認知症予防とも関係が深いことがわかってきました。認知症は、アミロイドβというタンパク質が脳の神経細胞に付着することが一つの原因といわれていますが、睡眠中、脳脊髄液がアミロイドβを洗い流していることがわかってきました。

また、十分に睡眠がとれないと、海馬の神経細胞が新生されにくくなり、海馬が萎縮し、記憶力が衰えていく可能性があります。

実際、睡眠時間と認知症の関係を25年間追跡調査した論文では、睡眠時間が6時間以下の人は、通常7時間睡眠の人よりも、約30%、認知症になる率が高かったといいます。睡眠はとても大切なのです。