自分をおとしめるネガティブな言葉やコンプレックス、失敗を恐れる気持ち……。それらをうまく忘れると、もっと自由な生き方ができるように思います。

ぼくは高校の初めての英語のテストで、450人中最下位でした。同級生との学力の差にがくぜん。そこでぼくは、落ち込む自分を奮い立たせるために、その答案用紙を、壁に掲示された学年トップ10の隣に貼り出しました。

「1度の結果だけで、自分を決めつけてしまう自分」を忘れたいと思ったのです。気持ちが軽くなりました。

<「老い」=「衰え」は忘れていい思い込み>

生きている以上、老いは避けることができません。そのとき、「老い」に対してどんなイメージをもつかによって、生き方も変わってきます。

米国ワシントン大学は、高齢者と20代の若者に6種類の認知テストを行いました。その結果、記憶力と認知スピードは若者のほうが優れていましたが、言語力、空間推理力、単純計算力、抽象的推論力では、高齢者のほうが勝っていたことがわかったのです。「老いること=衰えること」というイメージが覆りました。

また、被験者の15%は若いときより認知力が優れていることもわかりました。人間は死ぬまで成長し続けているのです。

自分は無能だと落ち込んだり、年を取ることに落胆するのはある意味簡単です。しかし、そこから1歩踏み出して、それらを積極的に忘れると、生きていくのが楽しくなっていきます。(医師で作家・鎌田實)