ぼくの健康法の目標は、90歳を過ぎても自分の好きなことができる筋肉を保つことです。食堂に行ってかつ丼を食べたり、日帰り温泉に行ったり、ささやかでも自分でできるというのが大事なのです。

<やせれば健康、は思い込み>

この目標を実現するには、「やせれば健康になる」という思い込みを忘れ去る必要があります。

メタボを予防するには、肥満にならないことがたしかに重要なのですが、やせることばかりを重視すると、栄養が偏り、筋肉がやせてしまいます。

特に、高齢になって筋肉がやせると、フレイル(虚弱)になり、老化が一気に進んでしまうのです。健康のためにやせようと思ったことが、むしろ健康寿命を縮めてしまうのです。

<長生きしたければ、おいしいものを食べなさい>

だからこそ、60歳を過ぎたら、やせなきゃという思い込みは忘れること。そして、しっかりと筋肉をつけるためにタンパク質をとることが重要です。

肉や魚、大豆製品、乳製品といったおいしいものをしっかり食べましょう。最近はタンパク質を強化した牛乳やヨーグルト、かまぼこ、ソーセージなどが市販されています。タンパク質をしっかりとって、ウオーキングや筋トレなどの「筋活」で筋肉を衰えさせないことが大事です。

筋肉をつけて活動的に過ごすことができれば、着実に脂肪を落とすことができ、メタボ予防とフレイル予防の一石二鳥になります。(医師で作家・鎌田實)