肥満は、内臓脂肪をためて生活習慣病を後押しし、心臓や血管、腎臓などの臓器にもダメージを与えることで「肥満症」という病気に進展しやすい。一念発起して減量に励むことは大切だが、奮起し過ぎて体重を極端に落とすのは危険だ。

「BMI(体重キロ÷身長メートルの2乗)が18・5未満は低体重で、死亡リスクが上がると報告されています。また、高齢で低栄養になるとフレイル(心身の虚弱)や認知症のリスクも上がるため、体重を落とし過ぎるのもよくないのです」と、東邦大学医療センター佐倉病院糖尿病・内分泌・代謝センターの齋木厚人教授は警鐘を鳴らす。

「痩せることに意識が向いて病的にとらわれてしまうと、食べることができなくなりやすいので注意が必要です。特に自己判断でダイエットしている人は注意しましょう」

最近は、減量効果のあるさまざまな薬が登場しつつある。肥満症と診断されなくても、自費診療を行うクリニックや、種類にもよるがドラッグストアで購入できるOTC薬もある。薬によって体重が落とせるのはよいが、減量し過ぎれば命に関わる事態につながりかねない。

「肥満に伴う生活習慣病や膝痛、睡眠時無呼吸症候群など、合併症を患っているときには、日本肥満症学会や日本肥満症治療学会が認定する医療機関を受診しましょう。適切な治療を受けることこそが、健康に役立つことを覚えておきましょう」と齋木教授は話す。

自己判断で太りすぎるのも、痩せすぎるのも、健康の害につながるので気をつけよう。