中高年に突入すると身体活動能力は落ち、ベルトの上におなかが乗るなど、体形の変化が起こりやすい。おなかの脂肪の内臓脂肪は、生活習慣病を後押しする物質を出すため、健康診断結果で「血糖値が高い」「糖尿病の疑いがある」など、異常値が生じやすくなる。

「加齢とともに筋肉量は減り、代謝は落ちやすくなります。若い頃と同じような食事をしていると、肥満や生活習慣病の後押しをするのです」と、東邦大学医療センター大橋病院糖尿病・代謝・内分泌内科の上芝元教授は話す。

「私の研究で、2型糖尿病の一部の人では、男性ホルモンのテストステロンが低下し、テストステロン軟こうの使用で、2型糖尿病や脂質異常症が改善した人がいました。テストステロンを下げないように意識することは、生活習慣病の予防にも役立つと思います」

テストステロンは、筋肉を動かすことで増加するため、筋トレ習慣は低下予防に役立つ。また、過度なストレスや短い睡眠も、テストステロン低下の後押しをする。仕事が忙しいとストレスから逃れるのは難しく、睡眠時間は減りがちだが、そういうときこそ、運動習慣を意識するとよいそうだ。

「私はサッカーの大ファンです。現役を引退した選手が何年たっても体形を維持しているのを見ると、理想的だと感じます。いくつになっても、現役を意識する。そういった心がけが、健康につながるのではないでしょうか」と上芝教授は話す。

「もう年だから」ではなく「年だからこそ、ちょっと奮起」。そんな気持ちが大切といえる。