大腸は1・5メートルくらいの臓器で、それが蛇腹のようになっています。その中に肛門から直径1センチ程度、長さ1・3メートルくらいの内視鏡を挿入します。内視鏡は細いチューブの先端にカメラ、ライトなどがついていて、それを使って行う検査が「大腸内視鏡検査」です。

ただ、この検査は受診してその日に受けられる、という検査ではありません。それは、大腸には便が入っているので、そのままでは大腸内を正確に観察することができないのです。その便を取り除くために、前日の夜からしっかりと準備を行います。これは受診したときに指導されますので、しっかり実践してください。

まず、前日の夜から行うのは、夕食は早めに済ませ、食事の量は多少制限。そして、消化の良い物を食べるようにします。だから、食物繊維の多い食材は避けます。玄米、麦飯、キノコ類、海藻類、野菜類、果物類などです。便秘の方は便を出すために食物繊維を取ることが良いとお考えになりますが、大腸内視鏡検査においては逆です。腸管内の残った繊維が観察の邪魔になるので、大腸内視鏡検査前の摂取は避けましょう。寝る前には指示された下剤を服用して朝に便を出し、そして、受診します。

医療機関では、洗腸剤という腸を洗う薬を約2リットル飲みます。1回で飲むのではなく、数回に分けながら約2時間で飲み干します。その間に、何度もトイレで便を出すと水様便になります。大腸をきれいにするのに約2リットルの洗腸剤を飲むのは、胃の内視鏡に比べてハードルは高い。ただ、最近は約1リットルと少ない量で腸内をきれいにすることができるようになり、ハードルは多少下がったかもしれません。しかし、味がさまざまなので、少ないから絶対良いのかどうかは個人の好みもあるかもしれません。

準備が整ったら検査着に着替え、待合室で呼ばれるのを待ちます。次回は、大腸内視鏡検査の本番です。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)