心不全などの持病による失神や朝礼失神・起立性失神は心臓の障害の程度や自律神経の一時的失調によるため比較的診断のつきやすいことがありますが、倒れたのに手がかりのつかめない失神に対しては植え込み型心電計の出番です。心電図を長時間モニターすることで不整脈を検出します。
胸に埋め込んだ心電計のマイクロチップに心拍データが蓄積されるため、病院の臨床工学科のパソコンで任意にキャッチできます。ちょっとした“貧血”症状(軽い失神、近失神とも言います)が、実は不整脈から引き起こされたこともわかる場合があるのです。症状があるのに不整脈が見つからない場合には不整脈を除外できるので、逆にてんかんなどによる失神であることがわかってくるのです。
植え込み型心電計は不整脈を見つけるための最後のカードかもしれません。医者にしてみれば簡単な小手術ですが、患者さんにすればたとえ5ミリでも皮膚を切られるのですから。切り札を切る前に不整脈は見つけたいものです。
第2回の連載で説明しましたが、心臓は電気を流す筋肉と電気を受け取り収縮する2種類の筋肉でできています。電気を流す刺激伝導系は会社で言う経営管理部門、そして収縮する心筋は営業部などの実動部隊です。ターゲットとなる不整脈で一番多いのは、“徐脈”と呼ばれる遅い脈です。とりわけ、脈が突然でなくなるタイプの“徐脈”は2種類に分類され、「洞機能不全」という、いわば社長含めた経営トップが急に何も発信しなくなって現場が何もできない状態、あるいは「房室ブロック」は、会社上層部の命令を部下が全く受け取れなくなった状態です。失神の場合、洞機能不全による頻度の方が多くみられます。

