「肺がん」の手術もロボット手術が中核になってきました。私はそのロボット手術に力を注いでいます。今回は、私がロボット手術をなぜ始めたのか、それを紹介します。
日本で最初にロボット手術の医療機器(商品名:ダビンチ)を導入したのは藤田医科大学で、2008年。もう18年も前です。その頃、私は胸腔(きょうくう)鏡手術のサイバシ用機器に限界を感じていました。そのタイミングでロボット手術の動画を目にしました。ロボット手術の鉗子(かんし)は、人間の指先のような細かい動きと、手首のような360度近い関節構造を持ち、狭い空間でも自由自在に動いていました。「これだー!」と、ピンときました。
私は、ダビンチが病院に導入されたらぜひとも使いたい、と思っていました。ロボット手術は泌尿器科の前立腺がんが最初に保険適用。そのタイミングで当時の病院長が泌尿器科にダビンチを導入しました。私は、「ロボット手術をさせてください」と元病院長に頼み、OKをもらいました。09年からロボット手術のトレーニングを始め、十分にトレーニングを積んだ12年から「縦隔腫瘍(しゅよう)」、13年から「肺がんの肺葉切除」を臨床研究で開始しました。臨床研究の費用は病院が負担します。
肺がんの臨床研究に参加した患者さんは11例。最初の患者さんには、「ロボット手術でさせてください」とお願いしました。「ロボット手術、できるのですか?」と言われましたが、すぐに受けてくれました。2例目の患者さんからは、「ロボット手術を受けたい」と希望されて受診されました。私どもの医局のホームページに「ロボット手術の臨床研究始めました。何かあればご相談を--」と書いていたからです。
そして、18年4月、肺がんのロボット手術は保険適用になりました。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)

