丸山酒造場/上越市
里山に抱かれて建つ丸山酒造場本蔵。周囲には水田が広がる

 昨年、創業120年を迎えた丸山酒造場。人でいえば「大還暦」だ。一昨年、当時専務だった丸山健一郎さんは、6代目(丸山郁子現会長)から代を受け継ぐにあたり、丸山三左衛門と名を改めた。2代目の三郎治が1927年(昭2)に建てた石碑の記述によれば、丸山家は江戸時代初期から糀(こうじ)屋を営み、歴代当主は三左衛門、三郎左衛門、三郎治を襲名してきた。

 第2次世界大戦後に復員し、企業統制による休業から酒造りを復活させた4代目の三郎治は、身体のためにも家計のためにも、お客さまが酒を飲み過ぎないよう、晩酌は2合程度で満足できる甘めの味にこだわった。農作業で酷使した身体は甘めの酒を欲することも理由の1つだった。これが現在の「雪中梅」の「口当たり柔らかく、品のよい甘口」のルーツである。

 雪国の気候風土と超軟水の仕込み水を生かし、生産者の努力のたまものである良質な酒米を磨き、村山俊郎杜氏の下、蔵のやり方を熟知した造り手たちの技により醸される独自の味わいは、県内外にコアなファンをもつ。

 今回の1本「雪中梅 純米酒」は2013年に誕生。蔵では最も新しい商品で、伝統の上品な甘さを感じつつ、酸による後味の「軽み」を楽しめる酒だ。「雪中梅」伝統の甘口と共に記憶に残る4代目三郎治とは別の名を襲名した丸山三左衛門社長。飲む人の心と身体を癒やし励ます、地元の人の活力になる酒造りという原点を見つめて、挑戦への可能性を探っていく。【高橋真理子】

[2017年4月8日付 日刊スポーツ新潟版掲載]