今季のセ・リーグの“台風の目”になりそうなのが、中日だろう。近年、貧打に泣いてきたが、野手の選手層は整いつつある。中日に移籍後、急成長を遂げた細川は主砲として計算できる打者になった。今シーズンからはスタンドまでの距離が短くなり、ボスラーや上林ら中距離ヒッターの長打率は上がるだろう。生え抜きの若手はやや小粒なタイプが多いものの、新外国人のサノーがそれなりの結果を出せるようなら、上位争いできる戦力が整っている。

プラスアルファとして注目されるのは、やはりサノーだろう。この日は軽めの練習だったが、打撃練習に注目した。まず、フリー打撃前のトス打撃では、極端に踏み込んで打っていた。近年、この手のタイプの外国人選手は苦戦する。パワーあっても制球力のいい日本人投手の内角攻めに対応が難しくなるからだ。しかし、フリー打撃になると、オープンスタンスで構え、それほど踏み込まずに打てていた。

ただ、それ以外に「苦しみそうだな」と思わせる技術的な問題もみえた。踏み込む左足が、柔らかく使えない点だ。トス打撃ほどクローズに踏み込まないが、左足のつま先が開いて打てない。この部分が閉じていても、インパクト後で左かかとでくるりと回れるか、左膝を柔らかく使える技術があれば、変化球に対して拾うようなバッティングができる。あくまでの現時点での話だが、そこら辺の器用さや柔らかさがなく、仮に内角攻めに対応できたとしても、変化球に対しての柔軟性に疑問が残る打撃フォームだった。

日本人投手の平均スピードは145キロを超え、上がってきている。それでも平均速度で150キロを超えるメジャーのピッチャーよりは遅い。この速度差で、日本人投手の球速に対応できる可能性はある。ただ、打ち方を見る限り、速い真っすぐを待って、それより速度の遅い変化球に対応できると思える打ち方ではなかった。

単純にまだ仕上がっていない可能性はある。少し太めに見えるように、これから暖かくなって体が絞れてくるかもしれない。そうなれば体のキレができ、スイングスピードもアップ。多少の技術的な問題点があっても、スイングの速さをアドバンテージにして、速い球を引きつけて対応できれば、緩急についていけるかもしれない。

弱点をしつこく攻めてくる日本野球を理解し、自分の弱点をカバーできるのか? まだまだ未知数の部分が大きいが、今後のサノーの打撃に注目していきたい(日刊スポーツ評論家)

川崎臨時コーチ兼選手(中央)はサノーと言葉を交わす(26年2月撮影)
川崎臨時コーチ兼選手(中央)はサノーと言葉を交わす(26年2月撮影)