広島を担当してまだ半年だが、ここまで投手陣の勝ち頭としてチームを引っ張る大瀬良は、球界屈指の好青年だと思う。取材にも嫌な顔をせず、時間の許す限り丁寧に対応。真面目な性格を象徴するような場面が、先日あった。

 先発陣による投手練習を終えた右腕は、次の登板に向けた野球の取材の流れで、しばし報道陣と雑談。話題はロシアで開催中のサッカーワールドカップ(W杯)に移った。

 軽いジャブで日本代表の現監督、前監督を聞かれた大瀬良は「西野朗さん、ハリルホジッチ」と少したどたどしかったが即答。次に日本の世界ランキングを聞かれて「61位ですよね」と得意げに答えた。

 これくらい誰でも知ってるじゃないかと思うなかれ。何せ彼は、世間で盛り上がりを見せてきたW杯の開幕直前に「何か大きな大会がありましたっけ?」と答え、周囲を苦笑いさせていたのだ。それから短期間でたいした進歩と言っては失礼かもしれないが、その理由がとてもいい。

 「だって(取材で)聞かれるかもしれないから、ちょっとは勉強しておこうと思って。今日も日本戦を見ますよ」。聞いたその場の全員が、笑顔になったのは言うまでもない。【広島担当=大池和幸】