同い年、左投げ、育成契約…。他球団でも共通点が多い選手の活躍は気になるもの。さらにそれを自らの活力に変える。阪神の育成ドラフト1位石井将希投手(23)は、大仕事をやってのけた同学年に刺激を受けた。「西武戦のことはニュースで見ましたよ。僕ももっと頑張らなきゃいけないと思いました」。

 見つめる画面の中で躍動していたのは、ソフトバンクに育成ドラフト4位で入団した大竹耕太郎投手だ。締め切り2日前の7月30日に支配下登録され、8月1日に1軍で先発。首位西武の山賊打線を8回2失点とねじ伏せ、プロ初勝利を飾った。育成出身の新人が初登板初勝利を挙げるのは、史上初の快挙だ。

 阪神では7月30日に歳内が育成から支配下登録されたが、石井のもとに吉報は届かなかった。背番号「121」に表れる現在地。今は虎視眈々(たんたん)と飛躍のきっかけを探る。「普段から左投手の先輩の近くにいるように意識しています。岩田さん、飯田さん、山本さん…。この前は島本さんと話しました。そうやって何かヒントをもらえたら」と、技術の吸収に貪欲だ。

 「たとえ練習試合でも僕にとってはチャンスなので、結果を出せば来年につながると思います。(支配下登録の)期限は過ぎたけど、目標を見失わないようにやっていきます」。真っ黒に焼けた端正なマスクを引き締める。3桁の背番号からはい上がる決意がにじんだ。【阪神担当 吉見元太】