第2試合で今大会35試合目で初めて「1対0」(以下1-0)というスコアが出た。

 勝った花咲徳栄(埼玉)の岩井隆監督は開口一番、こう話した。

 「1-0の試合が一番良い試合だと選手には言っています。それをこの場所(甲子園)で出来たことを幸せに感じます」。

 6回まで両先発投手好投で0-0。7回裏1死一、三塁から7番笹谷の適時打で挙げた1点を2投手の継投で守り切った。会心の勝利だった。

 「1-0というのが一番しびれる試合なんです。技術、メンタル、体力、全部出し切る。そういう中で勝てたことがうれしい」。

 高校野球100年。97回目を迎えた夏の甲子園大会だが、これまで行われた試合の中で一番多いスコアは何対何か。昨年までのスコアを週刊朝日の甲子園大会号を使って調べてみた(個人の集計なので多少の間違いはあるかもしれません)。

 1位:2-1(182試合)

 2位:3-2(178試合) 

 3位:1-0(170試合)

 4位:4-3(158試合)

 5位:3-1(133試合)

 6位:2-0(118試合)

 7位:3-0(110試合)

 8位:4-2(107試合)

 8位:5-4(107試合)

10位:4-1(104試合)

 こんな結果が出た。

 「1-0」は3位。金属バット以前と以降の数字も調べてみた。すると木製バットが使われた1915年(大4)の第1回から1973年(昭48)までの期間では「1-0」が1位(100試合)だった。2位の「2-1」(81試合)を20試合近くも引き離している。特に金属バット解禁前年の73年大会は「1-0」が11試合も出ている。金属バット導入から昨年までの大会では計70試合。これは5位(1位は3-2)まで順位が下がった。

 ちなみに投手優位と言われる春のセンバツ大会では「1-0」が1位(2年前の調査)。「3-2」が2位で「2-1」が3位だった。

 また日本のプロ野球を2年前に調べたが、セもパも「3-2」が1位(1950~2013年を調査)だった。「1-0」はセが6位、パは10位(DH制度の影響か)。またMLBも「3-2」が一番多いという話を聞いたことがある。

 近年の夏の甲子園大会は「打たないと勝てない」と言われる。試合前に各校監督に取材してもほとんどの監督が「5点は取りたい」と答える。打撃はもちろんだが機動力や走塁を含めた攻撃力に力を入れているチームは多い。

 2005年から昨年までの10年で「1-0」のスコアは8試合のみ。05、06、08、11、12年、そして昨年の14年は1試合もなかった。

 1-0は「絶滅危惧種」になってしまうのか。そんなピンチを花咲徳栄-鶴岡東の一戦が救った。

 10時55分から始まった試合は1時間58分後の12時53分に終わった。試合終了のあいさつが終わると4万5000人の大観衆から大きな拍手が沸き起こった。誰もがナイスゲームだと思ったに違いない。

 ノムさんこと野村克也氏がこんなことを言っていたのを思い出した。

 「1対0は野球の醍醐味(だいごみ)である」と。