プロ野球界の師弟関係が、20年の時を経て新たな形となった。
元ヤクルトの宮本慎也氏(52=日刊スポーツ評論家)が28日、埼玉県内で野球教室を行った。ヤクルト時代のチームメートである坂元弥太郎氏(40)が指導する「Yataro スポーツベース」で、コーチを務めた。坂元氏からのオファーを受けて実現。小中学生の約50人を指導した。
アップの際には、キャッチボールの重要性を語った。「何げない時のキャッチボールでも、しっかり自分の形で投げて」と、ボールの握り方やフォームを見せながら説明。数球投げただけで、汗がにじむ。それくらい体を使う。「キャッチボールがうまくなると、野球がうまくなる」と言う。
宮本氏の横で、言葉にうなずきながら聞き入る坂元氏がいた。約2時間の野球教室を終え「夢がかないました」と感謝した。
坂元氏がヤクルトに入団した01年、宮本氏はすでにレギュラーとして活躍していた。その年、ケガでリハビリ中だった宮本氏が、イースタン・リーグに出場することになった。先発は坂元氏。試合前、緊張しているとロッカールームで声をかけてくれた。
「もしエラーしたら、ごめんな」
驚いた。30歳の1軍レギュラーから、一回り年下の新人への言葉。坂元氏は「普通は言えることじゃない。どれだけ1プレーにかけているのか。すごい人だと思った」。翌年、初めて1軍キャンプメンバー入り。そこから、食事に行くなど師弟関係が始まった。ポジションは違うが、宮本氏は「おもしろいヤツだったから。一緒にご飯行ったり、遊びに行ったりしたね」と振り返る。
2人とも13年に現役を引退。野球スクールを始めた坂元氏は「尊敬する宮本さんに野球教室で教えてもらいたい」とずっと熱望しており、やっと実現した。
絆は、つながっていく。スクールOBで、巨人育成5位の桐蔭学園・相沢白虎(はくと)内野手(18)が、あいさつのため訪れた。中学3年間通い、スクールOBとして初めてNPB入り。相沢は「打撃も守備も弥太郎さんに教えていただいて、感謝している。支配下になって活躍して恩返ししたい」と誓う。
頼もしくなった相沢を、坂元氏は笑顔で見つめた。「支配下になったら、東京ドームの試合に招待してくれるんだそうです」。新たな師弟関係が、つながっていく。【保坂恭子】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)




