球場のスケールなどから「最後まで何があるか分からない」と言われる神宮だが、これもめずらしい。ゲリラ豪雨で2度までも中断とは。しかし、そこで考えていたのは別のことだった。「あれ以来の東京か」という思いである。

前回、阪神の東京遠征は7月7日からの巨人3連戦(東京ドーム)。その連戦で光ったのが前川右京だ。7日の同12回戦で自身3試合連発となる4号ソロを放つと9日の同14回戦でも5号2ランをマーク。乗りに乗っていた。

阪神前川右京(2026年7月撮影)
阪神前川右京(2026年7月撮影)

ここで「ははあ」と思わせたのはカード勝ち越しを決めた9日の試合後に指揮官・藤川球児が言ったことだ。前川について聞かれ、こう話したのである。「いいことがあればね。体調面も気をつけなければ…という時期ですから。甲子園に帰ってからもいい活躍を期待しています」―。

いいことがあれば、それと反対の予測できない事態も待っているのが世の常。これを「好事魔多し」と言い伝えた昔の人はすごいと思うが、40代半ばでそこに気がついている球児も、ダテに多くの経験をしていない…と感じたものだ。

はたしてというか、残念ながらか、その懸念が現実になってしまったのは7月17日広島戦(マツダスタジアム)のことだった。前川は背中に死球を受け、診断は「右肩甲骨骨折」。まさにレギュラー固め! というタイミングで戦線離脱の羽目に陥ったのだ。

7月17日、広島戦で背中に死球を受ける前川右京
7月17日、広島戦で背中に死球を受ける前川右京

厳しいプロの世界とはいえ、たまらないなと思ったものだ。その前川がこの日、2軍戦で本塁打を放ったというニュースが入った。ファーム西地区の広島戦(SGL)で大瀬良大地から右中間にソロ・アーチをかけたという。

前日7月31日に同戦で実戦に復帰していたが2試合目での1発という結果を出した形だ。打ったのが大瀬良というのも、いい。骨折からわずか2週間。すさまじい回復力だな、と感じる。

首位争いを続ける1軍のヤクルト戦、左翼はこの2試合で違った。前日31日はガルシアが「6番左翼」で初スタメンに立ったが3打数無安打。この日は同じく「6番左翼」で悩めるルーキー立石正広が入ったが快音はなかった。

幸いにもその影響はなく、阪神は連勝という最高の結果になった。それでも投手の疲労から打撃戦も増えるとされる時期だ。だからこそ、ここは前川の復帰を待ちたいのである。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)