第100回全国高校野球西東京大会5回戦で、両軍合計41四死球という「ギネス級の激闘」が繰り広げられた。8強入りをかけた日大鶴ケ丘-明大中野八王子の試合は、両軍投手が厳格なストライクゾーンに苦しみ、四死球を連発。酷暑の中、ビッグイニングの応酬となった。日大鶴ケ丘は3点を追う6回、今秋ドラフト候補の勝又温史投手(3年)を投入。最速151キロの直球、カットボールを主体に4回を無失点で空気を変え、打っても終盤の2適時打でけりをつけた。

 炎天下の八王子で、球史に残る激闘が繰り広げられた。全国の高校球児が目指す節目の100回大会。午後0時45分、甲子園へのベスト8をかけ強豪同士の対戦が始まった。

 両軍投手が丹念にコースを突いたが、球審は自らの仕事に徹した。高さ、コースともに厳格な判定で、明大中野八王子の1回の初スイングは8番打者、この回39球目のファウルだった。初回に要した時間は53分で、5回を終え両軍30四死球。西東京大会ではなかった「水入り」の休憩を挟んでも四死球の乱発は変わらず、ビッグイニングの応酬で乱戦が展開された。

 どんよりとした空気が充満した6回。日大鶴ケ丘・勝又が一塁側ブルペンから小気味よく、マウンドに走った。プロ注目の右腕は14日の試合に先発したが、熱中症で2回途中で降板。外野に回って、試合後は病院へ直行した。状態が心配される中、スタンドから拍手で送られるとプロ7球団のスカウト陣がスピードガンを構えた。

 勝又 (3回戦の)永山戦で三浦と高岡に助けてもらった。今度は僕が助けようと。僕はコントロールがアバウトなので不安でしたが、無我夢中で投げた。

 1死後、連続四球も剛速球を貫き「また、四球か…」のムードを変えた。試合に落ち着きを取り戻し、2イニング無失点で球場の空気を変えた。3点を追いかける状況を保つと、投球と並んで評価の高いバットで流れを引き寄せた。

 8回2死二、三塁。強烈な右前への2点適時打を放ち、一塁上でガッツポーズしながら叫んだ。中前適時打で同点のホームを踏み、また雄たけびを上げた。3点を勝ち越した9回1死三塁からは、変化球を右越え適時三塁打。マウンドでは空振り三振で締め、4時間4分という超ロングゲームにけりをつけた。

 両軍合わせ41四死球。過去に例のない数が積み上がった。計23安打でスコアは19-15。リタイアが出なかったことが救いだった。萩生田博美監督(45)は「お互いさま、というところ。条件の中で仕方ないです」と話し「粘って、よく踏ん張った」とねぎらった。【久保賢吾】