高校生史上最速163キロの大船渡(岩手)エース右腕・佐々木朗希投手(3年)フィーバーを、岩手県高野連も異例の対応で支える。

25日、岩手・盛岡市内で同高野連主催の報道担当者会議を実施。5月17日開幕の春季県大会や、夏に向けた「佐々木プラン」の議論だけで1時間以上を費やした。花巻東・大谷翔平投手(現エンゼルス)以上の注目度を想定。球場内外の混乱防止へ、大船渡の試合をメイン球場のみに限定する会場変更案も浮上している。

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球場ではなく、会議室も白熱した。例年は30分強で終わる会議が、1時間半を超えた。開始30分すぎ、司会者の同高野連・大原茂樹理事長から「大船渡の佐々木くんで、盛り上がりは間違いないですが…」と議題突入。出席した高野連と報道関係者約20人から、前代未聞の大フィーバーに備えて考案している新たな対策や、今後の懸念材料などが飛び交った。南舘秀昭会長も「大谷くんの時は、大きな対応の変化は特になかったと記憶しています。夏の準決勝で160キロを出してからが、すごいことになった。間違いなく、今回はそれ以上のフィーバー」。岩手が生んだスーパースター超えを認めた。

地区予選突破で県大会に出場した場合、最大の懸念は集客上のパニックだ。昨秋の県大会では佐々木観戦に観客が殺到し、駐車場がパンク状態。大船渡の父母らも“駐車場渋滞”で試合開始に間に合わなかった過去もある。準決勝でも観衆1万人を超え、大混乱。今春は盛岡や花巻などの大きな球場でなく、比較的規模の小さい3会場での開催。外野席を開放しても収容できるかも含め、対応が簡単でないことは確かだ。

メイン会場のライジング・サン・スタジアム(野田村)だけは、隣接の公共施設や役場、近隣の久慈工グラウンドなどで、一定数の駐車場確保が出来ている。だが、大平球場(二戸市)、八幡平市野球場はメドが立っていない。「それならば大船渡の試合会場を限定してもいいのでは」の意見が出たこともあり、会場を「大船渡優先バージョン」に組み替えることも検討に入った。

報道陣の受け入れ方法も、受付新設やカメラ撮影位置の限定など、例年と大きく変更する。今後は17年の早実・清宮幸太郎(19=現日本ハム)や昨夏甲子園準Vの金足農(秋田)などの事例も参考に、詳細を決定する予定。日本人最速165キロの期待の裏で、佐々木フィーバー対策も熱を帯びてきた。【鎌田直秀】