<高校野球広島大会:安芸府中2-0呉工>◇17日◇2回戦◇鶴岡一人記念球場

互いの考えは、口に出さなくても分かる。呉工バッテリーの三浦征良(そら)捕手と、竹内友基投手(ともに3年)は、今年で12年目の相棒だ。長い付き合いだが、高校でバッテリーを組んだのは2年から。三浦が兄貴分で、「甘えん坊」という竹内を引っ張ってきた。

家も近所。小中高と同じ学校に進んだ。打順も三浦が3番、竹内が4番で隣同士。2人とも機械科だがクラスは3年間別だった。毎日、練習前には絶対に2人で走り込む。休日も2人で地元・呉市の仁方(にがた)の海で釣りに出かける。話題は野球ばかり。配球のこと、打撃のこと。何げない時間の中で交わす会話が、仲を深めてきた。

この日の安芸府中戦。0-0の5回2死満塁でも2人は18・44メートルの距離を挟んで目と目で会話。三浦のサイン通りの速球で見逃し三振で切り抜けたが、6回に2点を奪われて最後の夏が終わった。

卒業後、2人は別々の進路を進む。三浦は就職を予定し、竹内は上の世界を目指して大学で野球を続ける。互いに感謝を伝えるなら? と聞いた。「一緒にバッテリー組んでくれてありがとう」と竹内。三浦は「俺のリードに付いてきてくれてありがとう」。そして「プロになったらサインもらいます。それを楽しみにします」。相棒の飛躍を期待して、いたずらっぽく笑った。【望月千草】