商業校対決を宇都宮商が制した。10安打を放ち6得点。先発した高根沢元投手(3年)は7回を投げ4安打無失点の好投だった。春から背番号1を背負った男がチームを勝利に導いた。

選手時代、社会人日本代表として国際大会でも活躍した文星芸大付・高根沢力監督(45)を父に持つ。別の高校に進学したのは「率直に尊敬する父を倒したかったから」と自ら決めた。

高校入学時から体重は10キロ増え、最高球速は19キロ伸びて139キロとなった。元から「手先が器用で、キュウリの千切りが得意。だから制球には自信があった」。球速が増し、強豪校と戦えるようにまで成長した。

試合を終え「父は昨日、納得いく勝ち方ができなかったみたいです。文星とは違うぞと言いたい」とジョークたっぷりだ。まだ1度も実現していない親子対決。文星芸大付とは順当に勝ち上がると決勝で戦う。「父を倒すことが1番の恩返しにもなる」と言い切る。母照美さん(45)は「対決した時は100対0で息子を応援します」と即答。強力な味方をつけ、決戦の舞台まであと3回勝ち上がる。【佐藤勝亮】