<高校野球北北海道大会:旭川大高9-0クラーク>◇20日◇決勝◇旭川スタルヒン球場

北北海道の旭川大高が令和の甲子園一番乗りを決めた。決勝で昨年と同じクラークと対戦し、9-0で2年連続9度目の代表をつかんだ。エース能登嵩都(3年)が6安打7奪三振で完封。1年で急成長した右腕がタイブレークで敗れた昨年の聖地のリベンジを目指す。21日には南北海道、秋田、長野、沖縄の代表校が決まる。

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能登はゆっくりと両腕を上げた。9回2死。クラーク最後の打者の打ち上げたボールが旭川大高・樋口唯斗右翼手(3年)のグラブに収まった。マウンドに仲間が集まり体をぶつけあう。令和の甲子園、全国最速切符だ。「無失点で抑えられて良かった。100点の投球ができました」。しみじみと喜びをかみしめた。

エースの仕事をこなした。130キロ台の直球にスライダーを織り交ぜ、6安打7奪三振。終盤の7、8、9回はいずれも3者凡退と、追い上げを許さなかった。今夏の5試合で58安打43得点の強力クラーク打線を完封した。端場雅治監督(50)は「入学した時はイップスっぽくて大丈夫かなと思ったけどやってくれた」と成長に目を細めた。

チームは17年から丸刈りを禁止した。高校野球の“基本”である髪形を自ら考えることで自主性を導き出すためだ。昨年は9年ぶりに甲子園に出場も、佐久長聖(長野)にタイブレークの末、延長14回4-5で敗れた。今年のチームの目標は甲子園「出場」から「勝利」に変わった。と同時に、能登も「ピンチで三振を取れる投球」という課題を自らに課して、取り組んできた。

冬場の投球練習は多い日で1日に300球。可能な限り打者を立たせ、手前で鋭く曲がるスライダーを意識して投げ込んだ。この日、2回2死一、三塁と6回2死二塁の2度あった得点圏に走者を置いたピンチは、ともに三振で切り抜けた。

巨人に育成3位で指名された昨年のエース沼田翔平は憧れの存在だが、チームメートが卒業記念のサインをもらう中、1人もらわなかった。「自分がプロに行った時にもらおうと思います。高校でまず沼田さんを超えるために甲子園で1勝したい」。聖地一番乗りを決めた勢いで26年ぶりの白星を目指す。【西塚祐司】