メジャーでは、ファンサービスの一環として、観客にTシャツやレプリカユニホーム、タオルなど、実にさまざまな景品を配布することが広く定着しています。「GIVE AWAY(ギブアウェー)」と呼ばれるもので、最も人気を集めるのは「ボブルヘッド人形」。特にスター選手の「ボブルヘッド・デー」は、スタジアムの開場数時間前から長蛇の列ができることもあるほどで、確実な動員増につながっています。裏を返せば、ボブルヘッドを配布する日は、もともと集客が見込みにくい「人気薄」の組み合わせという、主催球団側の読みもあるというわけです。
開幕直後、マーリンズの遠征は、まさに「ボブルヘッド・ツアー」でした。4月10日のナショナルズ戦のリバン・ヘルナンデス(引退)に始まり、23日のジャイアンツ戦では、マット・ダフィー。さらに、25日のドジャース戦ではサイヤング賞3回のクレイトン・カーショー、5月1日のブルワーズ戦では2011年MVPのライアン・ブラウンと、収集家にとっては垂ぜんの品々が配布されました。つまり、わずか1カ月足らずの間に、遠征先で4つのボブルヘッドデーに出くわしたわけです。
こんな現象は、ヤンキース、ドジャース、カブス、レッドソックスなど全国区の人気球団の遠征先ではまず考えられません。それでなくても、チケットが入手困難な組み合わせなのですから、それ以上「プレミア化」させる必要はないというわけです。
実際、マーリンズが本拠地で配布するイチローのボブルヘッドデー(5月22日)はナショナルズ戦。ドジャース前田健太投手の配布日は7月26日のレイズ戦と、ご当地では比較的なじみの薄いチームとの対戦カードに組み込まれています。これらの「ギブアウェー」は、主にシーズン序盤から夏休み期間までが中心で、特に子供たちが来やすい日に設定される傾向はあります。
もっとも、シーズンが終盤に入り、チームが熱い優勝争いを繰り広げれば、対戦カードや景品にかかわらず、ファンの足は自然と球場へ向くものです。言うまでもありませんが、ボブルヘッド人形以上に、チームが勝つことが何よりのファンサービスなのですから…。
【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「メジャー徒然日記」)




