ツインズ前田健太投手(33)が9月1日、テキサス州ダラスで右肘のトミー・ジョン手術を受けました。

メジャー6年目の今季は、好不調の波もあり、8月21日のヤンキース戦では5回途中に降板。その後、複数の医師から検査を受けた結果、右肘に損傷が見つかり、手術が決まりました。

手術勧告を受けた直後、前田自身は手術を回避するつもりだったそうです。元々、右肘に異常があり、2016年、ドジャースへ移籍した際にも指摘されました。その影響で、基本年俸が抑えられ、インセンティブを複雑に設定する契約となりました。その後、ここまで5年あまり無事に投げ続けてきたわけですから、前田自身にとっては、想定内の「異常」だったというわけです。

「子供の頃から大きなケガもなく、どこかで自分はケガをしないという思いもありました」

これまでも多少の痛みを感じながらも我慢して投げるうちに、痛みが和らいだりしたこともあり、炎症を取りながら投げ続けるという選択もあったようです。

ただ、今年の場合、日常生活でもシャンプーなどのポンプを押したり、洗髪したりする際に「しんどい」と感じることもあったと言います。手術歴のあるダルビッシュ(パドレス)やチームメートにも参考意見を聞き、最終的には前田自身が決断しました。

「これから先の野球人生をより長く続けるために選択しました。このまま、ごまかしながら投げていても、今年のような投球になるし、逆にキャリアを早く終わらせることになる。今、40歳を過ぎていれば手術をしないと思うけど、これから先、長くやりたいですから」

今回は患部に「インターナル・ブレス」と呼ばれる補強具を装着する最新の手術で、通常のトミー・ジョン手術よりも数カ月早い回復が見込めるそうです。それでも復帰まで1年以上は必要と見られていますが、幸いなことに前田の契約は2年後の2023年まで残っています。

「僕にとっていいタイミングでこの時を迎えたのかなとも思います。契約があと1年なら、リハビリで終わって契約してくれるところがないこともありますから」と、すでに前向きに捉えています。

当初は「悲しくなった」と振り返っていましたが、元々、明るい性格で常にポジティブ思考。

「僕は普通の33歳より若いので大丈夫。今まで以上に強くなって戻れると思っています。もしかしたら、10年後も投げられる可能性があるかもしれないですし」

元中日の山本昌氏は、50歳まで現役で投げ続けました。メジャー通算247勝を挙げたバートロ・コロンは、48歳になった今も、メキシカン・リーグでマウンドに立っています。

心身ともに強くなって戻ったあかつきには、前田には10年と言わず、ぜひ最年長記録を目指して投げ続けてほしいものです。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)