敏腕代理人スコット・ボラス氏が日本プロ野球を使った新たなドラフト対応策を作り出したとアメリカのメディアが報じている。昨年のMLBドラフトで1巡目全体8位指名を受けたカーター・スチュワート投手が福岡ソフトバンク・ホークスと契約で合意したとスポーツニュースサイト、ザ・アスレチックのケン・ローゼンタール記者が現地20日にツイッターで報じたものだ。

速球とカーブを武器とするスチュワートは有望株と評価され、昨年のドラフトでブレーブスから8位指名を受けた。ニューヨーク・ポスト紙などによれば当初契約金は400万ドルに達すると見られていたが、身体検査で手首に懸念が判明したことからチームは提示額を200万ドル程度に抑えたとみられている。このことから代理人ボラス氏との交渉は7月上旬の期限までにまとまらなかった。

その後スチュワートは東フロリダ州立短大に進学することを選び、そのため今年6月に行われるドラフトの対象に再びなっていたのである。再度上位指名されることは確実だと見られていたなかでの日本のホークスとの契約合意報道にメディアやファンが驚くのは当然だろう。

ではスチュワート側、ボラス氏の思惑は何か。それはスチュワートのキャリアアップの道筋への考えがありそうだ。スチュワートは現在19歳。アメリカではメジャーデビューまで6年程度かかるだろうという見方が強い。これに対し、日本のプロ野球ならもっと早い時期から1軍で活躍できるだろうというのがボラス氏の考えなのだ。実際ボラス氏は昨年のウインターミーティングで日本のジャパンタイムズに対し「(日本プロ野球は)今以上に関与すべきだ。日本のチームがアマチュアに目を向けるのはいいことだ」と語っていた。

スチュワートが6年間日本プロ野球でプレーし、25歳になれば国際フリーエージェントの資格を得ることができ、自由にMLBチームと契約する権利を得る。狙い通り成長できていれば高額契約となるというわけだ。

ホークスの三笠球団統括本部長は「現時点でお話しすることはありません」とコメントしなかったということであり、さらに来月のドラフトの行方もわからない。

とはいえ、ボラス氏による日本プロ野球を使った新たなドラフト対策ツールは今後MLBと日本プロ野球に大きな影響を生むことになるかもしれない。