アウトローのせめぎ合いが始まった。エンゼルス大谷翔平投手(23)が、ツインズ戦に今季2度目の「4番DH」で出場。4打数1安打だった。5回の第3打席、2死一、二塁から外角低めのツーシームを流し打ち、左前打でチャンスメーク。安打を放った打席以外でも、相手バッテリーから外角中心に攻められた。データが浸透するメジャーで、大谷に対し外角低めを徹底する傾向が顕著に表れ始めた。

 長いリーチを伸ばした。「4番大谷」の相手は、12年から5年連続2ケタ勝利を挙げているツ軍の好投手リン。5回2死一、二塁、カウント1-0からの2球目だった。外角低めのツーシームを捉え、高速ライナーで三遊間を割り満塁とした。「チャンスの打席もしっかりつなぐことはできたので、それなりの仕事はできた」。続くシモンズの押し出し四球で得点につなげた。

 反省も口にした。「もう少し工夫すれば、もう少し良いようにできるところはあった」。この日、相手バッテリーの配球は外角に偏っていた。全4打席15球中、11球が外角球。懐を起こしたり、足元を動かしたりする厳しいボールは1球もなかった。ツ軍の捕手ウィルソンは「ダメージを最小限にできれば、1ヒットならOK。プホルスに対しても同じ」と明かした。少しでも甘い内角は持っていかれる-。相手にそう思わせたのは、大谷だった。

 4月27日、ヤンキースの開幕投手セベリーノが自信を持って投げ込んできた内角直球を、軽々と右翼スタンドへ放り込んだ。「もう2度と内角には投げない」と同投手に言わしめて以降、内角球が極端に減った。本人は「直近の配球を見ながら、じゃあ次、どういう配球をするのかなという方が大事」と意識していないが、衝撃的な4号ソロを境とし、外角中心の傾向が顕著に表れ始めた。

 単打なら御の字。長打のリスクを避け、複数得点を防ぐ。大谷が現在のメジャーでも屈指の強打者として認められている証しだ。「出塁したり、得点圏にいけるチャンスはあったので、もう少しアプローチの仕方を考えながら、次に生かせればいい」。欠場したプホルスの代役ではない。本物の4番になりつつある。【斎藤庸裕】