ヤンキース田中将大投手(30)が、歴史に名を刻む完封勝利を挙げた。

17日(日本時間18日)、ア・リーグ東地区の首位を争うレイズ戦に先発し、全111球中76球がストライクという制球力を駆使して被安打2、10奪三振。自身ヤンキースタジアム初となるシャットアウトで5勝目を挙げた。ヤ軍の投手が同球場で被安打2以下、2桁奪三振で完封を決めたのは、02年のマイク・ムシーナ以来。通算270勝で殿堂入りしたコントロールの鬼に肩を並べる快投で、レ軍とのゲーム差を1・5に広げた。

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田中は「高く、速く」「低く、遅く」を徹底してレイズを完封した。

全111球のうち、低めの直球はたった1球。一方で、奪った10三振のうち、高めの直球で奪ったのは8回2死の1個だけ。若いカウントで高めの直球を見せ、低めの変化球で仕留める策をいかに徹底できたか、データが雄弁に物語っている。

メジャーでは完全な技巧派に分類されるが、多彩な球種を駆使するわけではない。直球、スライダー、スプリット。三種の神器を軸に相手をもてあそぶ領域に制球力を高めた。狙ったポイントに狙った軌道で投げきる投手を、メジャーでは「コマンドピッチャー」と呼ぶ。現役メジャーの中で、田中はその筆頭格に位置する。

二塁を踏ませぬ被安打2。9回に向かうマウンドで、日本一となった13年日本シリーズと同じ「あとひとつ」が流れた。左打者天国のヤンスタで右投手が完封。極めて快感度の高い仕事を、メジャー6年目で初めて完遂した。