【ニューヨーク19日(日本時間20日)=四竈衛】マー君がメジャー6年目で初優勝-。ヤンキースが2012年以来7年ぶり19回目のア・リーグ東地区優勝を決めた。マジック1で迎えたエンゼルス戦で先発した田中将大投手(30)が7回4安打1失点と好投。自身は今季11勝目(8敗)、チームも同100勝目をマークし、まずは1つ目の関門を突破した。

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笑みを浮かべながらも、全員がはしゃぐことなく、がっちりと抱擁を交わす光景が、盟主らしかった。優勝決定の立役者となった田中は、勝利の瞬間を見届けると、ゆっくりとグラウンドへ歩を進めた。およそ「歓喜」のフレーズが似つかわしくないほど、落ち着いた優勝だった。

クラブハウス内でのシャンパンファイトも、大音響の中ながら、セレモニーのように粛々と進んだ。美酒を浴びた田中は、開口一番「長いシーズンを戦った結果なんでうれしい」と笑った一方、「プレーオフがやっぱり大事なんで」と平然と言った。優勝決定の瞬間について「プレーオフ(PO)の最後の歓声はあんなもんじゃない。もっともっと盛り上がるんでまだまだです」と振り返ったのは、紛れもない本音だった。

田中にとっては初、ヤ軍にとって7年ぶりの地区制覇とはいえ、区切りにすぎない。15年、17年、18年とポストシーズンを戦った際は、いずれもワイルドカードでの進出。公式戦最終戦まで緊迫した試合が続き、最後は力尽き、ワールドシリーズには手が届かなかった。だが、今回は日程、体力、相手研究など、余裕を持って決戦に挑める条件が整った。「POに入ったら、地区優勝したアドバンテージを実感できるのかと想像しています」。

14年にヤ軍入りした当時は、ジーターをはじめ、イチロー、黒田らベテラン勢が主力だった。その後、急速な世代交代が進み、不安定な戦いが続いた。だが、大砲ジャッジら若きスターが台頭し、ようやく地に足を着けて戦えるレベルまで成長した。「(自分は)時代、チームが変わっていく中で入ってきた。本当にいいチーム。あとは結果を出していくしかない。それだけのタレントはそろっていると思います」。視線の先は世界一のみ。脈々と継承されてきた王者の誇りを備える今、田中の言葉は自信に満ちていた。

▼ヤンキース・ブーン監督 田中は試合をコントロールして、大きいパフォーマンスだった。スプリットが鋭く、我々を勝利に導いてくれた。(史上初の就任以来2年連続100勝は)いい選手たちと組織の力。ただ、我々は春季キャンプから地区優勝をひとつの目標に掲げてきた。だから、彼らを誇りに思う。ただ、これは最初のステップ。これから先は、長く、細い道が待っているからね。