エンゼルス大谷翔平投手(27)がガーディアンズ戦に「2番DH兼投手」で出場し、2勝目を挙げた。今季は投手で4試合19回1/3を投げ、2勝2敗の防御率4・19、30奪三振。打者では19試合で打率2割3分8厘、3本塁打、10打点。“二刀流の現在地”を日刊スポーツ評論家の佐々木主浩氏(54)がチェックした。

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大谷は、試合中にうまく投球を修正した。初回は抜け球が多く、コントロールが定まっていなかった。本人は気温(19度)が低く体が動かなかったと話していたが、体が突っ込んだフォームになっていて、投げ急いでいる印象を受けた。

3回から徐々に、右足にしっかり「ため」ができていた。この回からカーブを多投。カーブは球持ちを良くして、しっかり前で離さないと、すっぽ抜けてしまう。カーブを多く投げることで体の突っ込みが解消され、直球など他の球種も修正できた。20日のアストロズ戦で素晴らしかったスライダーはキレが悪かったが、カーブでストライクを取れていたのは、直球を生かすためにも、二重の意味で大きかった。

調子が悪くても四球が1つだけだったように、ストライクゾーンで勝負できている。この日は、前回ア軍戦ではスライダーが43%を占めたのに対し、直球が半分近く(49%)を占めたが、今季はボールが走っているからどんどん押し込める。メジャーリーグの先発投手は球数がチームによって管理、制限されている。その分、球数を減らすためにも、ストライクゾーンへ積極的に投げることを推奨される。

チームで1人だけ全試合出場を続けており、負担のかかる投打二刀流もあって、疲れが多少あるのかもしれない。長丁場を考えると、休みを取る必要性も感じる。年間を通じて、絶好調という試合は何試合もない。昨年までと違い、調子が悪い時にも組み立てを変えるなどしながら大崩れせずに試合をつくって、勝てたのは大きい。しっかり試合中に立て直した部分に、今季の成長を感じた試合だった。(日刊スポーツ評論家)