【ボルティモア(米メリーランド州)5日(日本時間6日)=四竈衛】大谷の「おとこ気」投球も報われず-。ドジャース大谷翔平投手(31)が、敵地オリオールズ戦での登板を腰痛のため回避したタイラー・グラスノー投手(32)に代わり「1番投手兼DH」で緊急先発。時速100マイル(約161キロ)台の快速球を連発し、4回途中まで無失点と気迫十分の投球を披露した。それでも、サヨナラ負けを喫したド軍は4連敗。停滞ムードは変えられなかった。

   ◇   ◇   ◇

マウンドを託された以上、腕を強く振ることに迷いはなかった。両軍無得点で迎えた4回無死三塁。ピンチを背負った大谷は、巨大エンジンの出力を一気に上げた。「前に飛べばいろいろな形で点が入るシチュエーション。三振を取りに行く方にシフトして投げた感じです」。5番カウザー、6番リベラに対し、最速101・5マイル(約163キロ)を筆頭に計6球で100マイル超の快速球を投げ込み、狙い通り2者連続三振に仕留めた。あと1死を残し、70球で救援陣にバトンを渡したものの、鬼気迫るプレートさばきは、大谷の危機感と責任感の表れだった。

前日まで3連敗したチームの窮状に「おとこ気」で応えた。この日の午後2時過ぎ。遠征先のホテルにいた大谷は、登板への打診を快諾した。プレーボールまで残り約5時間。心身ともに調整は簡単ではない。だが、自らも「体調不良」で2日のパイレーツ戦を回避。代役の若手シーハンに負担をかけた。先発予定の8日と比較したうえで、マウンドへ向かうことを即決した。「4回でもいいので、しっかりと中継ぎの負担を減らせるような仕事ができるのは、大事なこと。今日はチームとして、そっちの方が大事という判断。長いシーズンをやっていればあること」。投打のルーティンを崩しても、チームの勝利以上に優先する事項は存在しなかった。

気温29度、湿度70%の環境でも、集中力は途切れなかった。3回の打席では、噴き出す汗が止まらず、タイムを取ってユニホームの袖で何度となく顔をしたたる水滴を拭い、四球で出塁した。そんな必死な姿に、イニング間には、球審が本来2分20秒の時計を止めて、投球の準備を待つほどだった。チームは4連敗も「おのおのができない時に、みんなでカバーしていけば、しっかり乗り切れるんじゃないかと思う。みんな健康で戦い抜くことが大事だと思います」と大谷。一切のエゴを捨て、ひたすら勝利にこだわり続ける-。連敗脱出だけでなく、ワールドシリーズ連覇へ向け最も大切なことを、身をもって示した一戦だった。

大谷翔平、緊急登板で4回途中まで無失点好投もドジャースはサヨナラ負けで4連敗/詳細