報われない男が報われた。中日ラウル・バルデス投手(37)が6回3安打1失点で、約3カ月ぶりとなる3勝目を挙げた。開幕からフル回転も、援護なく何度も勝ち星を逃してきた不遇の左腕は、3回から2点の援護を受けて発奮。3カ月ぶりのチーム4連勝の立役者になった。降板後の8回に打線が5安打6得点と大爆発。“持っていない”ぶりも笑って受け入れられた。
まじめな助っ人左腕が、お立ち台で照れくさそうに笑った。「とてもうれしいです。長い間勝てなかったけど、下を向かずに頑張ろうという気持ちを持って、常に前向きにいました。みなさんに支えられたおかげです」。ヒーローになっても派手なコメントはしない。実直な男らしく感謝の言葉を並べた。
投球には今年38歳になるベテランの持ち味が凝縮されていた。「コントロールが良かったこと。それが一番」。6回で102球を投げたが、最速は136キロ。内角、外角とコースを丁寧につくお手本のような投球で、5回までカープ打線を1安打。ストライク、ボールの判定にイライラを募らせる広島ジョンソンとは対照的。6回には丸、新井に連打を許し失点したが、リードを守った。
試合序盤からいつもは希少な“プレゼント”をもらっていた。3回2死一、二塁から3番ルナが三塁手梵のグラブをはじく左前適時打で先制。左翼エルドレッドの送球がそれる間に荒木が一塁から生還し、2点を先取した。「(ルナには)本当に感謝。勝つためには先取点が有効だった」。試合序盤の援護点を持ってスイスイと6回1失点。6月に左肘痛で離脱したバルデスにとっては、5月26日ソフトバンク戦以来、3カ月ぶりの白星となった。
友利投手コーチもシーズン序盤に「あいつにないのは髪の毛と勝ち運」と言ったほど幸が薄かった。この試合まで17試合に登板し、防御率3・45と奮闘しながら、援護点は9回平均でわずか2・45。極端に少なかった。これまで“温存”していた運が巡ってきたように、バルデスが降板した8回には打者12人攻撃で5安打6得点。打線は活発だった。
「ラッキー、アンラッキーのことは自分ではコントロールできないこと」。急に向いてきた運にもバルデスはどこ吹く風。チームを4連勝に導いた男は、これからもスタイルを貫く。【桝井聡】



