日本ハムが劇的な幕切れで5連勝を飾った。オリックス17回戦は2点を追う9回、代打大谷が四球を選んで無死一塁とし、市川がプロ入り初の2試合連発となる値千金の2号同点2ランを放った。延長10回に田中の内野安打をきっかけに無死満塁と好機を広げ、最後はレアードの犠飛でサヨナラ勝ちを収めた。敗色濃厚の試合をひっくり返し、81年Vのユニホームを着用するレジェンドシリーズはこれで4勝負けなし。貯金を今季最多19に伸ばした。

 今季5度目のサヨナラのホームを踏んだ田中に、水しぶきが飛んだ。打ったレアードがペットボトルのシャワーを浴びた。そして、なぜか得点に絡んでいない杉谷がビショビショになった。劇的な5連勝。全員が、ヒーローになった。栗山英樹監督(54)は「みんなが幸せになる、すごくいいゲームだった。みんながガーッと(試合に)入っている感じがした。それがうれしくて」。奇跡の逆転Vが、少しだけ現実味を帯びてくる。試合後のベンチには、ドラマの予感が漂っていた。

 2点を追う9回、代打・大谷が四球を選んでつくった無死一塁の場面。指揮官は3打数無安打だった市川を、そのまま打席に送った。「あいつの打撃を信頼している」。西川、矢野も控えていたが、前日20日ロッテ戦でも一発を放った、市川のバットに託した。結果は、最高だった。フルカウントで粘り、8球目。内角の直球を左翼スタンドへたたき込んだ。「何とか次につなごうと思いました。すごくうれしかったです」。巨人在籍時にもなかった、東京ドームでのスタンドイン。「僕のメーンは(2軍の)ジャイアンツ球場だったので」。自虐的に笑いを取った。

 前夜ロッテ戦の試合中、ベンチに白井内野守備コーチ兼作戦担当の怒号が響いた。西川が全力疾走を怠っていたことが原因だった。リードしている展開の中で円陣を組み、カミナリが落ちた。ゆるんでいたチームに、再び緊張感と結束が生まれた。目標は8ゲーム先を行く首位ソフトバンク。連勝で失いかけた緊迫感を取り戻し、空気は引き締まった。

 かすかな光に向かい、車輪は急速にスピードを上げて回り始めた。栗山監督の胸には、手応えが生まれつつある。「全員が『勝つんだ!』という感じがほしかった。あと10試合くらい、これを壊さないでいければ、最後まで走れると思う。何とか邪魔をしないように」。昼間は八王子で行われた2軍戦を視察し、夜は東京ドームで指揮を執った。延長10回、4時間3分の熱戦。栗山監督の長い1日はハッピーエンドで終わったが、長い長いペナントレースは、まだまだ終わらせない。【本間翼】