小熊で小熊だラーラララララー。7年目の今季から先発に転向した中日小熊凌祐投手(25)が先発初勝利を挙げて、チームは2カ月ぶりに最下位を脱出した。8回途中3失点と力投。3年目で7勝を挙げる若松に続く若手投手の“出没”で、4カード連続勝ち越し。CS出場圏の3位巨人とは5・5ゲーム差となった。

 こわばっていた表情が笑顔に変わった。ベンチで勝利の瞬間を見届けた小熊は右手を握りしめた。敵地の中日ファンから声援を浴びてまた笑顔。「今日勝てば、最下位脱出ということだったので、勝利に貢献できてうれしく思う」。大事そうにポケットにしまったウイニングボールをわざわざファンに披露。「今までで一番うれしいです。家族に見せたい」とボールを見つめた。

 無我夢中の92球だった。1回からこの日の最速149キロを計測。「先のことは考えずに、腕振って投げることしか考えていなかった」。7回までDeNA打線を2安打と踏ん張った。「プロ初体験」の8回には白崎、下園に連打を浴びて息切れ。「最後の方はボールが高くなってしまった」と反省も忘れなかった。

 「持ってない男」が、ようやく歓喜のときを迎えた。プロ初先発の5月2日DeNA戦では6回1失点と好投しながら、抑えの福谷が打ち込まれて白星が吹き飛んだ。続く5月15日阪神も中継ぎ又吉が試合を壊した。直近の8月22日ヤクルト戦は中継ぎ登板。中3日での先発再挑戦だった。

 滋賀・近江からプロ入りして7年目。「鳴かず飛ばずです」と存在感を示せずにいた。昨シーズン終盤に先発転向を告げられて一念発起。食生活も見直し、8キロ減量。昨秋キャンプでは新任の大塚投手コーチに「ゴロを打たす、芯を外す。そういう変化球を1つ増やしたい」と懇願し、わずか数週間でシュートを習得した。この日も6回2死一、二塁のピンチで4番筒香をシュートで二ゴロ。投球の幅を広げた。

 竜の勢いが止まらない。これで直近10試合は9勝1敗。4カード連続の勝ち越しで、6月24日以来となる5位に浮上した。ただ谷繁兼任監督は「うちは1つでも勝っていかないといけない。そこを目指していない」と表情を緩めない。高卒3年目の若松が7勝を挙げ、指揮官が転向を決めた小熊が先発初白星。シーズン終盤に谷繁チルドレンが躍動し、上昇気流が吹き始めた。【桝井聡】

 ◆小熊凌祐(おぐま・りょうすけ)1990年(平2)8月11日、滋賀県生まれ。近江から08年ドラフト6位で入団。13年は28試合登板も昨年は2試合のみ。昨季まで通算37試合はすべて中継ぎで2勝1敗、防御率6・47。180センチ、80キロ。右投げ右打ち。推定年俸750万円。