自分のことよりチームの勝利が大事なのだ。その一心が阪神マウロ・ゴメス内野手(31)を突き動かした。執念、そしてひたむきさ…。2点を勝ち越された直後の7回無死二塁。マイコラスに追い込まれて4球目だ。外角スライダーに食らいつき、ライナーで右前へ。適時打になる。その瞬間だ。深々と右翼を守る長野の甘いチャージを見逃さない。一塁を蹴る。巨体を揺らして二塁を陥れた。
不振で追い詰められていた。久々の快打にも一息つかない。激走が効き、貴重な同点のホームを踏んだ。「結果的にヒットになったことがうれしい。(ボークも)相手が失点したので大きなプレー」。劇勝後の話題は打撃だったが何より光ったのは敵のスキを突き、先の塁を狙う姿勢だろう。
4番から5番に降格して5試合目。悪循環を断とうと必死だった。この日は気分転換にSSK社の白いバットで打撃練習。34インチ、890グラムの相棒はとっておきだ。5月ごろ、何げなく手に取ったフィット感が気に入ったという。実は母国ドミニカ共和国の英雄で、2年先輩のロビンソン・カノ(現マリナーズ)が用いるタイプだった。「メジャーでも軽い部類」と同社担当者。早速、6本ほど発注して愛用する。この日の試合は別のタイプを使ったが、心軽やかに本番に入った。
気を許せる仲間と優勝したいのだ。スマートフォンを取り出してはナインと意思疎通。「俺とライン交換してくれ!」と言っては周囲を和ませた。日本語もできないのに若手とLINE(ライン)でもつながる。ナイスガイな気構えで、一丸になる。今日10日に対戦するポレダ相手にチームは4敗しているが、12打数4安打、打率3割3分3厘と打ち込む相手だ。8月14日ヤクルト戦以来、82打席ぶりの長打。勢いに乗って難敵をたたきたい。【酒井俊作】
▼阪神がマイコラスから奪った3得点は最多。またゴメスが7回に打った二塁打は、阪神打者のマイコラスからの初タイムリー。マイコラス登板時の阪神の得点は、7月11日(東京ドーム)4回福留の本塁打、6回マートンの犠飛、8月18日(東京ドーム)6回大和の敵失のみだった。



