広島が大きな1勝を手にした。総動員で延長12回、4時間16分を戦った試合から一夜明け。5回に田中の二塁打を口火に先制し、逆転された8回には新井、石原のベテランコンビで再逆転に成功。先発ジョンソンも省エネ投球でブルペンを助けた。借金を3に減らし、自力優勝消滅の危機も免れた。かみ合った歯車に手応えを持ち、今日11日から敵地での首位阪神3連戦に臨む。

 何度も手をたたいた後、緒方孝市監督(46)はハイタッチでナインを出迎えた。助っ人ジョンソンが熱投を披露し、若武者田中の好走塁で先制。逆転を許した後は新井、石原のベテランコンビが打った。理想に近い歯車のかみ合い。うなずきながら言葉を並べる姿には、いつもと同じ反省に加え、ほんの少しの手応えがあった。

 「連日、終盤に野手が意地を見せてくれた。今日の勝ちは本当に大きな意味を持っていると思う。勝ったことによって、昨日の引き分けが生きたよね」

 先制点は相手のスキをついた田中がもたらした。自身の二塁打などでつくった5回無死一、三塁のチャンス。打席のジョンソンはバント失敗で二塁封殺されたが、遊撃エルナンデスが握り損ねて落球するスキを田中は見逃さなかった。三塁から一気に生還。盗塁だけではない。記録は失策だったが、これぞ指揮官が掲げてきた機動力野球だった。

 前日9日に演じた延長12回の引き分けに、価値が出る白星だ。ブルペン陣は疲弊状態。するとジョンソンがテンポよく投球を続けて8回を2失点。無安打無得点を意識して最後に逆転を許したが、味方の再逆転で11勝目をゲットした。全員で勝つ。好機で打てなかった若手や、カバリングを怠ったジョンソンに反省をうながしながらも、緒方監督は成長を感じ取っていた。

 「ベテランの一振りで甘い球を仕留めるところは学んでほしいところ。若い選手は経験がない分、バットを出して仕留めるのは難しいんだけど」

 負ければ自力優勝が消滅する危機だった。土壇場の逆転劇で借金を3に減らし、踏ん張った。試合前には「自力V? 気にしていない。勝つだけだから」と語っていた。当然ながら、指揮官は本気で最終到達点を諦めていない。「今日の勝ちは大きい。また明日から1戦1戦ね」。首位阪神をたたきに、さあ、甲子園に乗り込む。【池本泰尚】