楽天にヘラクレス見参! 沖縄・久米島2軍キャンプで調整中のドラフト5位耀飛(あきと)外野手(21=関西・兵庫)が8日、フリー打撃で打撃投手を相手に29スイング中14発を放った。大学1年から筋トレに熱中し、現在は背筋270キロと驚異的な数値を誇る。180センチ、96キロの筋骨隆々の肉体を武器に、自慢の長打力で1軍昇格をアピールする。

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 まるでピンポン球のようだった。耀飛はギリシャ神話の英雄ヘラクレスのごとく筋肉のよろいをまとい、フリー打撃でいとも簡単に柵越えを連発した。ケージの後ろで見守っていた池山隆寛2軍監督(52)やドラフト2位の岩見雅紀外野手(23=慶大)もあぜんとする長打力だった。

 耀飛 2本に1本のペースで柵越えを打てた。風があったから、こすっても入る。自分の持ち味は出せた。常に本塁打を目指している。

 フルスイングが持ち味の和製大砲候補だ。大学3年時に見たイチローの映像がヒントだった。安打製造機のイチローは打撃練習では、思い切り振ることを意識してあえて本塁打を狙うという。耀飛は「それから強く振ることを意識し始めた」と常にフルスイングを心掛けると、おのずとスイングスピードも上昇した。

 また大学1年から始めた筋トレが、自慢の力強いスイングを生んでいる。大学時代は毎日1時間、大阪・梅田のゴールドジムに通い、鋼の肉体を手に入れた。背筋力は驚異の270キロを誇り、「広背筋の力だけでシャツが破ける」と豪語する。将来は消防士になるか迷ったが、夢を貫いてプロになった。

 耀飛の一番のファンに恩返しをする。女手一つで育ててくれた母由美さん(54)は保険外交員の仕事が忙しく、今まで耀飛のプレーを集中して見られなかった。だが、今年は息子の勇姿を目に焼き付けるために3日から3日間、久米島にやってきた。耀飛はパンパンにふくらんだ胸を張って宣言する。「母さんに楽をさせたい。今年、2桁の本塁打を打って、一軒家をプレゼントしてみせる」。現在は2軍も、自らのバットで1軍をつかみとる。まずは、飛ばしまくってアピールを続ける。【高橋洋平】