日本ハムが2夜連続で痛すぎる逆転負けを喫した。

 西武17回戦(メットライフドーム)は、7回に2番手の公文克彦投手(26)が浅村に逆転満塁本塁打を浴びて万事休す。首位西武との直接対決に負け越し、ゲーム差は今季最大の6・5に広がった。5カード連続で勝ち越せず、気がつけば3位ソフトバンクには2・5差に詰め寄られた。逆転優勝どころか、3位転落の危機も迫ってきた。

 ゲームセットを見届けた栗山監督は、帽子を取って一礼し、深く息を吐き出した。また、勝ちきれなかった。3連勝を目指し、最低でも勝ち越さなければいけなかった首位西武との直接対決に負け越した。「負け越したから、どうのこうのではなく、今日の試合にやられたという話。これから、勝ちきれるように」。歓喜に沸く西武ファンの声援が聞こえてくるベンチ裏で、言葉を絞り出した。

 信頼して送り出した公文は、徹底的な内角攻めを攻略された。7回1死満塁。初回に24号ソロを放っていた浅村の懐を、愚直にえぐり続けた。カウント3-1からの5球目も内角を狙った148キロ直球。低めに投じた、こん身の1球だったが、浅村の技術、読み、勝負強さに屈した。逆転25号グランドスラムが左翼席へ吸い込まれた。公文は「真っすぐは一番自信がある。打たれたのは仕方がない」。現実を受け止めた。

 戦略は、はまらなかった。浅村が左腕から本塁打を放ったのは2年ぶりだった。サウスポーのクロスファイアを苦手としていた。極端な配球に加え、左腕の公文はゴロを打たせるタイプ。フライを打たれる=本塁打を浴びにくい投手で勝負に出ていた。

 ブルペンでは2連投中の宮西も準備を始めていたが、試合展開の流れで出番は8回と決まっていた。栗山監督は「(宮西が、この日投げれば)3連投になる。(試合前に登板順を)決めてあげないと。しょうがないだろ」。先発マルティネスが7回を投げきれなかった時点で、このイニングは公文と井口で乗り切る算段だった。宮西は8回に合わせて準備。前夜、黒星を喫したトンキンは休養日と決まっていた。勝利へ向かう道を整えて突き進んでいたが、全てを西武の主将浅村に覆されてしまった。

 首位との直接対決に負け越したことで、逆転優勝へ向けては険しさが増した。一方で、調子を上げてきた3位ソフトバンクには2・5差に迫られている。負けられない試合は、まだまだ続いていく。【木下大輔】