あぁ5連敗…。阪神が若手主体で挑んだ楽天戦で岸孝之投手らに抑えられ、先発望月惇志投手も打ち込まれて完敗した。

チーム打率1割8分6厘、防御率6・08は12球団ワースト。若手がアピールできず、矢野燿大監督も「寂しいよね」と渋い表情だ。藤原崇起オーナー(67=電鉄本社会長)が視察した御前試合だったが、打てず守れず、抑えられずで12球団で唯一オープン戦白星なし。最下位から抜け出せないが公式戦本番は大丈夫!?

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オープン戦とはいえ、悠然と構えられない。矢野阪神が平石楽天に防戦一方で完敗した。期待の若手をズラリと並べた布陣。3回、新人木浪の右前タイムリーで奪った1点だけ。必勝リレーにも歯が立たず、4安打で完敗した。主力を温存した若手のアピール機会だが、覇気は空回り…。矢野監督も嘆くしかなかった。

「寂しいよね。はじめはいい競争が野手のなかで、できている形だったけど、現状、そういう形になっていない。もっともっと(若手に)出てきてほしいのは、ずっと思っていること」

開幕投手有力で通算122勝右腕の岸に腕試しするはずが、洗練された投球術に惑わされた。3点を追う2回。4番陽川は1球も振らず、外角低め速球に見逃し三振。遊撃レギュラー有力の北條も打ちに行けず、ファーストスイングで外角スライダーを引っ掛けて三ゴロに倒れた。カーブやチェンジアップも絶妙にまぶされ、手も足も出ない…。

矢野監督の目線は高い。「今日、ファーストストライクをほぼ振らせてもらってない。いいコースでいい球。タイミングも緩急もあるし、そんなに簡単に振らせてくれない」と相手の好投を認めつつ、工夫を求めた。「そんなこと言っていたら、いつまでも、なかなかいい投手を攻略できない。何か自分で仕掛けていくところはもっと欲しい」。タフで、したたかでなければ、1軍で活躍できない。

守備もスキがあった。1回、望月が196センチと巨漢の二塁走者ブラッシュを警戒しきれず三盗を許す。1死一、三塁で一塁走者銀次の二盗を挟殺で阻止する間に、ブラッシュに生還された。手堅い守備も見せられず、オープン戦5連敗で、いまも「最下位」の呪縛は解けない。チーム打率はついに1割8分6厘まで落下。先発望月が打ち込まれ、チーム防御率も6・08に悪化し、いずれも最下位だ。

福留、糸井らの本格参戦を前に、その地位を脅かす若手が現れない。指揮官は言う。「もっとイキのいいスイングや打撃を見たい」。若手のハツラツさが出ない限り、不安は消えない。【酒井俊作】

▼阪神はオープン戦0勝5敗となり、12球団で唯一未勝利が続いている。チーム打率も唯一の1割台で1割8分6厘しかなく、防御率も他11球団が5点以下の中で6・08と唯一の6点台。投打ともに12球団ワーストの成績だ。5試合を消化しての総得点8点も最少で、3試合しか戦っていないロッテの22点、楽天の21点からも引き離されている。

▼過去5年間のオープン戦をみると、最下位となった7球団(16年は3球団が同率)のうち、過半数の4チームが公式戦でもリーグ最下位に沈んでいる。

16年の同率最下位3球団のうち、中日、オリックスがセ、パ両リーグでそろって6位。昨季は阪神がオープン戦2勝12敗2分けの不成績から、レギュラーシーズンでも最下位に終わり、金本監督の退任につながった。かつては公式戦と別ものとされてきたオープン戦だが、近年は公式戦と相関する例が増えている。