阪神は「日本生命セ・パ交流戦」のソフトバンク戦で延長12回の激闘の末、引き分けた。

矢野燿大監督(50)は4回、就任後初のスクイズを北條に命じて決めさせるなど小技も駆使して主導権を握った。だが9回に先発メッセンジャーがあと1人から同点とされた。だがリリーフ陣が踏ん張り、ドローに持ち込んだ。

阪神が誇るリリーフ陣が、執念の継投で引き分けに持ち込んだ。先陣を切ったのは藤川球児投手(38)だった。1回1四球3三振と流れを断ち切って球団初、史上7人目の通算150ホールドを達成。「トップクラスに興味がない。クローザーもやっていたし、自分の中では価値観は無い」と記録には無関心だったが、大きな仕事を果たした。

2-2の同点に追いつかれた10回。先頭の3番グラシアルを148キロ直球で空振り三振に仕留めると、炎のストレートは熱さを増した。4番デスパイネは四球で歩かせたが、5番松田は148キロ直球で空振りの3球三振。6番明石には10球粘られたが、最後は148キロ直球で空振り三振に仕留めた。ソフトバンクの強力な主軸を相手に真っ向勝負で3アウトは全部空振り三振。2軍再調整を経て再昇格した4月27日の中日戦から18試合連続無失点と、この日も安定感は抜群だった。

11回はリーグ最年長投手の40歳のベテラン、能見がしのいだ。1死一塁の場面で、この回から登板していた小野に代わりマウンドへ。犠打と申告敬遠で2死二塁、迎えた高田を148キロ直球で投ゴロに打ち取った。「何とかみんなでつないでいけたらと思っていた。これからもみんなで助け合っていけたら」。最終回はドリスが暴投で無死三塁のピンチを招くも、後続を抑え切り抜けた。

矢野監督も必死につないだ左右の両ベテランを労った。「(藤川は)よく投げてくれてるしね。能見もランナー出てから。みんな本当にピッチャーがよく頑張ってくれている」。ブルペンを支えていたジョンソンを欠いた状態だが、リリーフ陣はこの日も無失点。執念リレーが演出した激闘ドローだった。【磯綾乃】