勝負を決する打球が、日本ハム清宮幸太郎内野手(20)の頭上を越えていった。1-1で迎えた9回1死満塁の守備。清宮の決死のジャンプも届かず、楽天銀次の放ったライナーは、右前へ落ちる決勝の2点適時打となった。試合後に素振り用のバットを持って球場から引き揚げた清宮は「あそこを打っていれば、流れが変わったかなと思います…」と振り返った。

「あそこ」とは、直前の8回の攻撃だ。3番手のブセニッツはコントロールに苦しんでいた。3四死球で2死満塁の大チャンスとなり、清宮に打席が回った。「制球も乱していたので、真っすぐを、しっかり狙っていた」。初球と2球目は冷静に見極めて2ボール。打者有利のカウントに持ち込み、ストライクを取りに来た3球目、狙っていた150キロ直球を強振。青写真通りのアプローチだったが、鋭い打球は一塁側スタンドへ飛び込むファウル。「悪くはなかったと思うんですけど」という内容も結果は伴わず、最後はフルカウントから135キロのカットボールに泳がされて二ゴロに倒れた。どんな状況でもハイライトが当たるのもスターの宿命だが、誰もが経験できない思いを、次につなげるしかない。

終盤の満塁での攻防が明暗を分け、東京ドームで痛恨の連敗を喫した。対楽天の負け越しが決まり、12試合を残して3位ロッテとは5・5差。クライマックスシリーズへの道も険しさを増し、12日楽天戦に敗れれば、3年連続のV逸も決まる。限りなく厳しい状況となった栗山監督は「みんなで勝つしかない」と語気を強めた。【木下大輔】

▽日本ハム宮西(8回を3者凡退。14年の自己最多に並ぶ41ホールド)「気にはしていない。今は救援陣に疲れが一気に出ているところ。なんとか走り抜けたい」

▽日本ハム加藤(5回1失点で降板し)「(6回も)投げたかったですし、前回も中継ぎに負担がかかっていたので、珍しく(続投したいと)言いました」