大商大・橋本侑樹投手(4年=大垣日大)が無安打無得点試合を達成した。10年春の大院大・小林寛以来でリーグ9人目。108球、打者30人、9奪三振、2四球、1死球の内容だった。

橋本は最後の打者を右飛に打ち取ると、喜びを爆発。1年生捕手の碓井雅也(天理)とがっちり抱き合った。富山陽一監督からは「ナイスピッチ!」と、ねぎらわれた。

今秋ドラフト候補の最速149キロ左腕は、力強い速球に加え、フォークなどの変化球も正確に制球。最後まで京産大打線に的を絞らせなかった。仲間には試合中から「あるぞ、あるぞ」と意識させられた。橋本は「最初は力んだけど、3回くらいから自分の投球ができた。9回はめちゃくちゃ意識した。素直にうれしいのが一番です」と笑みを浮かべた。

今春のリーグ戦中、グラブを持つ右手の使い方を修正。捕手の方向に突き出すようにしてから、バランスがよくなり、球威、制球とも改善された。6月の全日本大学選手権で九産大に1失点完投勝利。ぐんぐん成長し、右肩上がりでラストシーズンに入った。

快投の秘訣(ひけつ)は十分すぎる睡眠だ。登板前夜は午後8時30分に布団に入る。そのまま約10時間も夢の中。「僕は寝ないとダメなんで」。こだわりはあおむけで大の字になって眠りにつくこと。「めちゃくちゃリラックスできます」と高校時代に見つけたスタイルで心身を整えている。朝方はもちろん大の字ではないが、無意識に商売道具の左肩をかばって、ちゃんと右肩を下にした状態で起きることが多いという。

ネット裏には6球団のスカウトが陣取り、口々に春からの成長を認めた。貴重な左腕だけにドラフトで人気を集める可能性もある。同じくドラフト候補で入学時から切磋琢磨(せっさたくま)してきた右腕エース大西広樹(4年=大商大高)とそろってこの日、プロ志望届を提出した。

大商大はこの勝利で昨秋から続くリーグ戦連勝を20に伸ばし、リーグタイ記録とした。21日の神院大戦で新記録を目指す。