ソフトバンク杉山一樹投手(22)が19日、ドラフト同期で1学年先輩の甲斐野に挑戦状だ。福岡・筑後市のファーム施設を訪れた2年目右腕は、キッパリと言った。「今年は甲斐野さんから、45試合くらいは奪い取りたい」。昨季、勝利の方程式の一員として65試合に登板した強力セットアッパーにライバル心をむき出しにした。

くっきりと「明」と「暗」が別れたルーキーイヤーだった。ドラフト1位甲斐野は開幕1軍入りし、一時は守護神森不在を埋めるなどフル回転。一方の杉山は、春季キャンプのバント処理練習で右足首を捻挫して離脱。故障回復後は投球フォームもばらばらになり、球速140キロも出ないほど迷走し、1軍戦登板は2試合に終わった。雪辱の思い? は新調したグラブにも込めた。左手を差し込む部分には「世界遺産になりたい」と刺しゅう。何とも不可思議な目標だが、本人はいたってまじめだ。「普通の言葉ではちょっと…。とにかく大きな目標がいいかなと」。細い目をさらに細めて苦笑いを浮かべた。

手応えはある。千賀とともにこの5日間、トレーニングで汗を流した。上半身を動かさず、下半身始動の投球フォームに修正。制球力も上がった。「足から上げる感じで意識したら、フォームがガラリと変わりました」。この日を含めすでに7度のブルペン入り。「今は自然とボールが行くという感じ。ヒジとか肩の負担もない」と胸を張った。150キロ後半の直球を投げ込む期待の豪腕が、2年目のブレークを期す。【佐竹英治】